訃報
この音楽は僕の心象風景の比喩であり、
その風景は僕が見て聴いて感じるこの世界の比喩でもある。
僕と外の世界の間には皮膚以外にもそこを遮断する壁が存在する。
皮膚を剥がしたって人は世界に溶け込めない。向こう側とこちら側ではそれぞれの世界の成り立ち方が違う。
音楽は向こう側で鳴る。
それは体の中では音とは違う波のような なにかとなって響きわたる。
逆説的にいえば体の中の波のようなものは、外の世界では音となって存在することができるはずだ。
その波は外の世界から届く風がつくる波紋のようなものであり、
その風をつくる世界は他の無数の音を含んでいる。
まるでコートを行き交うピンポン玉のように、僕らが言葉でとらえられないそのなにかは
向こう側とこちら側を行き来する。でもその過程は金太郎飴のように一定ではない。
波が岩を削るようになだらかに変化し、時に天体の奇跡のように急激に変化する。
いま僕の向こう側にあるものを僕の中に毛穴を開いて取り込み、指先から外へと流し出す。
僕はそれがこの世界の言葉としては存在することのできない真実のかけらを切り取ったものになればいいと思う。
そしてそれを音という形を通してどこかのだれかと気持ちの深い部分で共有出来ればいいなと思う。
波の先には音楽があり、音楽の先に波がある。
−−−Nujabes
あなたの音楽にどれだけ救われたか知れません
本当に悲しく残念に思う
大切な数々の音楽
本当にありがとう
さようなら またいつか。
心からご冥福をお祈りします。